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謎解き 村上春樹(感想・考察・書評)    (ネタバレあり)

村上春樹作品の謎解き(感想・考察・書評)(ネタバレあり)

「ノルウェイの森」書評⑥~緑はなぜ主人公に声をかけたのか?

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     激しくネタバレしています。

 

 主人公が大学の近くのレストランで食事をしていると、「演劇史Ⅱ」の同じクラスの緑から声をかけられます。このシーンの初読のときの素直な感想は「うわー、なんつーご都合主義的な展開だ。出席で名前呼ばれても答えないような暗い主人公に、かわいい女の子が声かけてくるわけないだろ。」と思ったものです。

 

 ただ、読み直してみると緑は緑の理由があって声をかけていることが分かります。(ノートを借りたいという理由以外で。)

 

  第1に、緑は高校時代、自分の高校がどうしてもなじめず苦痛で嫌いでした。しかし、彼女は一日も休まず学校に通い続け、39度の熱が出ても通って皆勤賞までもらいます。これは、学校が大嫌いだったが故に1度でも休んでしまうと、もう行きたくなくなってしまう気がしたからです。

 主人公が、大学の講義に欠かさず出席し続けているにも関わらず、出席で名前を呼ばれても答えない姿を見て、彼女は自分の高校時代の姿と彼を重ね合わせます。

 

 第2に主人公は、高校時代に親友のキズキが自殺し、それ以来「半分死んだ世界」にいます。また、同じ世界の住人であった直子は病んで入院し、彼から離れています。緑は、死期の近い父親の看病のため病院に通い続けています。2人の置かれた状況はもちろんそれぞれ違いますが、彼らは、「死」に近いところにいます。

 緑は主人公に自分と同じ雰囲気を感じ、彼に声をかけます。

 

 (お読みいただきありがとうございます。感想等ありましたらコメント欄にコメントをお願いいたします。)