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謎解き 村上春樹(感想・考察・書評)    (ネタバレあり)

村上春樹作品の謎解き(感想・考察・書評)(ネタバレあり)

「ノルウェイの森」書評⑦~タイトルの「ノルウェイの森」はなぜ、「ノルウェイ製の家具」ではないのか。

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     激しくネタバレしています。

 

時々、「ビートルズの曲の“Norwegian Wood”って正しい訳は『ノルウェイ製の(木材)家具』ですよね。なんで、村上春樹はタイトルを『ノルウェイ製の家具』にしないで、『ノルウェイの森』にしたんでしょうか?」という意地悪な質問を聞くことがあります。上記の質問がなぜ意地悪かと言うと、だいたいの場合、聞いている時点である答えを期待しているからです。例えば以下のような。

 

「そりゃ、『ノルウェイ製の家具』より『ノルウェイの森』の方が、イメージが良いからに決まっているだろ。タイトルが『ノルウェイ製の家具』じゃ、たぶんこの小説はこんなに売れなかったろうね。HAHAHA!」

 

 上記の答えでもいいかもしれませんが、正しい答えは、「小説を読めばわかるでしょ」だと思います。

 

 もともと、ビートルズのこの曲が日本に入ったとき、曲のタイトルは「ノルウェーの森」と訳されています。だから、当時の日本人のこの曲のタイトルのイメージは「ノルウェイの森」です。タイトルというのは重要で、「ノルウェイの森」というタイトルだと思ってこの曲を聴くと、まるで静かなノルウェイの森の中にいるような気分になります。正しい(といっても、実はこれにも諸説あるらしいです。Wikiを見るといろいろ書いてあります。)「ノルウェイ製の家具」というタイトルで伝わっていたら、この曲を聴くと(安物の)ノルウェイ製の家具しか置いていない静かな殺風景な部屋がイメージされたんでしょうね。

 

ノルウェイの森」というタイトルが頭にあるから、直子は以下のように感じるわけです。

 

「この曲聴くと私ときどきすごく哀しくなることがあるの。どうしてだかはわからないけど、自分が深い森の中で迷っているような気になるの」

 

 直子がこの曲を聴くと「深い森の中で迷っているような気になる」以上、この曲のタイトルは「ノルウェイの森」でなければいけません。「ノルウェイ製の家具」では意味が通じません。

 

 あと、“Norwegian Wood”の副題の“(This Bird Has Flown)”の意味も小説的には重要だと思います。

 

 (お読みいただきありがとうございます。感想等ありましたらコメント欄にコメントをお願いいたします。)