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謎解き 村上春樹(感想・考察・書評)    (ネタバレあり)

村上春樹作品の謎解き(感想・考察・書評)(ネタバレあり)

「ダンス・ダンス・ダンス」書評~⑥ 誰かが僕のために泣いている

 

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激しくネタバレしています。ご注意願います。
 
 いるかホテルの夢の中で誰かが僕のために泣いているのを主人公は聞きます。「誰か」とは誰なのでしょうか?文庫版(下)361ページにあるように、はじめ主人公はそれはキキだと思っていました。もちろん、キキも含まれていますが、キキだけではありません。「そこでは誰もがあなたの為に泣くのよ」

 

 主人公が過去に失っていきた人達が、彼のために泣いています。それは、鼠であり、直子であり、キキであり、これまでの人生で主人公が失い続けた全ての人達です。

主人公は一度現実世界で彼らを失い、幻想世界で彼らと邂逅してきましたが、幻想世界を失うことで再び彼らを失います。彼らを失うことで、主人公は再び傷つきます。主人公が傷つくことを悲しんで、彼らは泣きます。しかし、主人公が、自分自身を取り戻し現実世界に戻るためには、この痛みを引き受けなければいけません。主人公自身が幻想世界を閉じるので、彼は泣くことができません。泣くことができない主人公のために、彼らは泣きます。

 

(お読みいただきありがとうございます。もし、よろしければ感想などありましたら、コメント欄にコメントしていただけると嬉しいです。)