「ダンス・ダンス・ダンス」書評~⑦ ユミヨシさん
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*激しくネタバレしています。ご注意願います。
主人公がいるかホテルに帰還し、ユミヨシさんと結ばれることによって、この小説は終わりを迎えます。彼女は「現実世界」の象徴であり、「現在」の象徴であり、また、いるかホテルの16階を通じて主人公と繋がっています。「僕と君のあいだには、ささやかではあるにせよ何かしら相通じるところがあるような気がする」
この結末はありきたりであまり評判が良くないようです。他のエキセントリックな登場人物たちと比べてユミヨシさんは普通の人ですし、ハッピーエンドは概して退屈なものです。しかし、主人公がちゃんと現実世界に帰還して、自分を取り戻したことを示すためにはこの結末以外はないでしょう。
私はユミヨシさん、けっこう好きですけどね。「登山教室だって。ははは」のところとか。
これで、「ダンス・ダンス・ダンス」の書評を終えます。次回は「国境の南、太陽の西」の書評の予定です。
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