「ダンス・ダンス・ダンス」書評~⑥ 誰かが僕のために泣いている
(目次に戻る)(初めてこのblogに来られた方は、まず目次をご覧ください。)
*激しくネタバレしています。ご注意願います。
主人公が過去に失っていきた人達が、彼のために泣いています。それは、鼠であり、直子であり、キキであり、これまでの人生で主人公が失い続けた全ての人達です。
主人公は一度現実世界で彼らを失い、幻想世界で彼らと邂逅してきましたが、幻想世界を失うことで再び彼らを失います。彼らを失うことで、主人公は再び傷つきます。主人公が傷つくことを悲しんで、彼らは泣きます。しかし、主人公が、自分自身を取り戻し現実世界に戻るためには、この痛みを引き受けなければいけません。主人公自身が幻想世界を閉じるので、彼は泣くことができません。泣くことができない主人公のために、彼らは泣きます。
(お読みいただきありがとうございます。もし、よろしければ感想などありましたら、コメント欄にコメントしていただけると嬉しいです。)